プロローグ
アスガルド世界
ここは創世の書カルドセプトが生み出した
多次元宇宙のひとつ
偉大なるカードの意志が
悠久の彼方に忘れ去られた世界
カードの神秘を操る術師 セプターたちは
兵士や盗賊、果ては見せ物の闘士に成り下がり
存在意義を見いだせないまま、
無為にその力を振るっていた
この世界の片隅で少年は夢を見ていた
暗闇の中央に光が起こり、
光は広がってやがて無数の星となる
そして頭の中に語りかける声……
「力を使え その手に集めよ
時を超え 目指せ」
言葉の意味を理解できないまま、
少年は運命の朝を迎える
この日、少年は生まれ育った村を
発たなければならなかった
貧しい村人たちを救うため、
商人に自ら身を売ったのである
けして豊かな土地とは言えないが
両親を亡くした少年を村人たちは温かく育てくれた
そんな村を少年は心から愛していたのだ
「お別れはすませたな?」
「はい」
故郷の村を背に商人と歩き出す少年
そのとき、2人とすれ違うひとりの少女がいた
少女は少年を呼び止めて、こう言う
「あなたは夢を見ませんでしたか?
暗闇に星々の生まれいずる夢を」
……この出会いをきっかけに
少年の運命の環は大きく回り始めるのであった